巻頭特集Interview
ポストコロナを見据えたウェルス・マネジメントの展望について
代表取締役 千野和俊
2021年3月期を振り返っていただけますか。
- 新型コロナによる影響を多大に受け、
業績計画を達成できなかったことを深くお詫び申し上げます。 - 2021年3月期の通期予想、『中期経営計画2022』が達成できなかったことは、「約束を守る集団」を企業理念の一つに掲げる当社として痛恨の極みであり、株主の皆様に深くお詫び申し上げます。
要因は、皆様ご承知の通り新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって事業環境が一変したことにつきます。具体的には、1年で2度の緊急事態宣言の発出という想定できなかった状況が引き起こした宿泊需要の大幅な減退。さらにそれらを背景に、ホテル開発を対象にする融資について金融機関が慎重になったことなどにより、当期中に計画していた不動産取引が完了しなかったことがあげられます。
ただ、当社が開発するホテルに対する投資家の皆さまの投資意欲は依然としてポジティブで、遅延した不動産取引も4月には契約締結となり、決済を待つだけの状況です。プロジェクト全体への進行にも大きな影響は与えてはおりません。当期中に間に合わせられなかったことは残念ですが、当期の決算は期ズレによるものとみなし、配当は据え置きといたしました。
新型コロナウイルス感染症の影響が不透明な中、御社の事業環境について教えてください。
- 世界的にワクチン接種も進み、ホテルマーケットへの投資意欲は、
これまで以上に高まっています。 - ご承知のように、ワクチン接種が世界的に進みつつあり、人の移動やイベント開催などが平常時へ向けて戻り始めています。観光業の急激な回復も目前ではないでしょうか。私は、宿泊需要は2022年3月期には新型コロナ前6割程度、2023年3月期には2019年度並みの数字に戻るのではないかと考えています。特に、当社アセットのポートフォリオで中核をなすラグジュアリータイプのホテルは、昨年の夏から秋にかけていったん回復を見せた際の実績からも、比較的早い回復に期待をしています。
- 海外の機関投資家は、投資先としてホテルマネジメントに長けた当社を選ぶ。
ホテルに特化した新たな私募ファンドの組成も。 - 当社ホテルに対する海外の機関投資家、ファンドの投資意欲も旺盛です。米系のいわゆるオルタナティブな資金がファンドを通じて当社に届くという形です。東南アジアでのコロナ・ショックからの回復が欧米諸国よりも早かったことがひとつの要因ですが、状況としては、米国の投資銀行グループが日本に持ち込んだ資金を不動産に投資していた2000年代前半と似ています。ただ少し違うのは、彼らがホテルマネジメントに長けている会社を選んでいることです。多くの会社を調べたうえで、ホテル開発、ファンド組成、運用を一貫して手がけているという理由で、当社と一緒にビジネス展開をしたいというお話を多くいただいており、光栄に感じております。この1年吹き荒れた逆風が止み、ようやく少し追い風を感じられるようになったところなので決して楽観はできませんが、この状況であれば、そう遠くないうちにホテルに特化した新たな私募ファンドを組成できると見ています。
- ラグジュアリーホテルをトータルに手がけられる、
真のプロフェッショナルへの注目度が高まってきた。 - さらに、これまで日本のホテル投資は、競い合いで過熱一辺倒でしたが、このパンデミックによって業界企業の淘汰が進み、投資意欲は旺盛な一方で投資家の目はより厳しくなり、生き残った会社のなかからベストな選択をしようとされています。その理由はおそらく、インバウンド需要を見込んだホテルの建設ラッシュで供給されたものが殆どバジェットホテルだったので、改めてラグジュアリーホテルの希少性に気づかれたからだと思います。ラグジュアリーホテルは参入障壁が高いゆえに手がけられる会社が限定されるのですが、投資家の皆さんの間でラグジュアリーホテルについて、そして投資のリスクやメリットについて、真のプロフェッショナルに聞いてみたいという想いが高まってきた。その結果、当社の実績に注目する投資家が増えてきた、ということが言えるのではないでしょうか。
サムティ株式会社との資本業務提携を発表されました。その背景について改めてお聞かせください。
- 観光業に対する思い入れが強く、当社と異なるホテルアセットを持つパートナーと、
国内有数のホテルREIT創設をめざしたい。 - 当社はサムティ株式会社(以下「サムティ社」)の各種事業資金および投資案件の調達力を活用し、サムティ社は当社のグローバルな投資家ネットワークやホテルセクターにおけるアセットマネジメントの経験を活用することで、国内外の不動産市場での新たな展開を通じて、両社ならびにグループの成長、企業価値の向上をめざすことを目的とする資本業務提携を締結いたしました。
サムティ社の主力事業は賃貸マンションの開発事業およびプロパティマネジメントですが、ホテルアセットもお持ちで、継続的に投資機会を捉えて新たなホテルREIT設立に向けて取り組みを強化したいと考えておられました。観光業に対する想いも強く、今後の事業拡大に向けて、非常に頼もしい企業とパートナーシップを結べたと考えております。
これからサムティ社と進めていくホテルREITの創設においても力を得ることができると考えています。当社のホテルアセットの中核はラグジュアリーホテルですが、ホテルREITのポートフォリオとしてはバジェット型を加える必要があります。一方でサムティ社のパイプラインの多くはバジェット型のホテルです。さらに2社のホテルアセットを合わせると業界最大手に匹敵する、あるいは凌駕する可能性があります。組成、タイミングについては慎重に協議を重ねつつ、互いにスピードを共有し進めてまいります。
新たな中期経営計画の目標と、注力する事業を教えてください
- 投資家の皆様が期待する成長スピードを得るため、
レバレッジをかけて不動産の販売収益を伸ばす。 - 2021年3月期の業績計画を達成できなかったことから、中期経営計画を見直す運びとなりました。基本方針としては、①J-REIT創設をめざすことによって資産循環型ビジネスの完成をはかり、国内有数の受託資産を獲得する。②東京証券取引所の市場区分見直し後の新市場区分において、プライム市場の上場基準を満たす基盤づくりを進める。引き続きこの2つを軸に進めていきます。計画初年度の2022年3月期の収益目標として、経常利益55億円を目標とします。これまでの計画では2021年3月期、2022年3月期の経常利益の合計が75億円ですので、そこから想定し得なかった新型コロナによるホテル運営事業での計画未達成分を差し引いた目標をクリアすることで、1年遅れではありますが、約束を果たしたいと考えています。
収益目標達成のうえで特に力を注ぎたいと考えているのは不動産事業です。その理由は、リスクを伴わない手数料収入だけでは投資家の皆様が期待しておられる成長スピードが得られないからです。会社としてこの数年でリスクに耐えうる体質になってきましたし、特に昨年は新型コロナで本当に厳しい1年を乗り越えたことで社員も自信を持ったと思うので、今期からはある程度レバレッジをかけて、不動産の販売収益を伸ばしたいと考えております。 - アベノミクス後に一気に切った舵を少し戻し、
ロジスティクスとレジデンシャル分野を開拓する。 - ホテルについては先ほど申し上げたとおり、サムティ社と協働し、お互いの強みを活かし、弱点を補いながらクオリティを高めていくことになります。将来的に新たなホテル会社を設立する可能性もあります。ただ、コロナ・ショックを振り返ってみると、当社の事業ポートフォリオがホテルに偏っていたために厳しくなったという面も否定できませんので、アベノミクス後に一気に切った舵を少し戻す必要があるとも考えています。成長セクターを見極め、進めていく。候補として考えられるのは、ロジスティクスとレジデンシャル。サムティ社という心強いパートナーを得ることができたので、改めて力を入れていきたいと考えています。
2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
---|---|---|---|
取扱高※ | 400億円 | 600億円 | 1,000億円 |
売上高 | 125億円 | 150億円 | 200億円 |
経常利益 | 55億円 | 65億円 | 75億円 |
プライム市場への意気込みを聞かせてください。
- 新たな中期経営計画の数値計画を確実に遂げていく中で、
早期の実現を目指します。 - 日本証券取引所より示されているプライム市場の定量基準に達していない項目が、いくつかあります。流通株式時価総額などについては当社の業績や株価に起因しますので、確実に業績を積み上げ、株価収益率を高められるようにしっかりと取り組んでまいります。
株主・投資家の皆様にメッセージをお願いします。
- 「約束を守る集団」として前進する当社を信じて投資の継続をお願いします。
- 繰り返しになりますが、2021年3月期、皆様との約束を果たせなかったことを深くお詫び申し上げます。その上で今一度、是非、我々に期待を寄せていただきたい。J-REIT組成、プライム市場への上場基準を満たす基盤づくり、前中計からのお約束を本中計では必ず成し遂げたいと思います。また、引き続き、TSR(株主総利回り)を念頭に、トータルで株主の皆様に収益を還元させていただきたいと考えております。
大きな環境変化により、2021年3月期は足踏みとなりましたが、株主・投資家の皆様には、株主の皆様には、引き続きのご支援をお願いいたします。
おもてなしの空間これまでウェルス・マネジメントグループが手掛けたラグジュアリーホテルをWEB版株主通信Progressにてご紹介しています。
フォションホテル京都130年以上の歴史を誇る「フォション」が手がける新たなラグジュアリーホテルが誕生
パリのエスプリと京都の雅が融合
2018年9月にパリ・マドレーヌ広場に開業したフォション初のラグジュアリーライフスタイルホテル「フォション ロテル パリ」に続き、世界で2軒目となる「フォションホテル京都」を開業いたします。コンセプトは「FAUCHON Meets Kyoto. Feel Paris.」フォションの生誕の地「華の都パリ」と「雅な京都」この二都市が持つ文化・伝統・芸術のイメージを掛け合わせています。客室はもちろん、レストラン、ショップ、スパなど、館内のいたるところでパリと京都の融合をご体感ください。
フォションピンクをアクセントに、ピンクのグラデーションを基調とした上品でさりげなく遊び心のある客室。フォションならではのアメニティーディテールへのこだわりも。
グルメホテルという「食」へのこだわりがコンセプト。フォション製品と食の体験を一つの屋根の下に格納するためにフォションホテルというインスピレーションの宝石箱を完成。
ギャリア・二条城 京都全室が日本庭園ビュー心に残る京の四季をご堪能ください
二条城を臨む全25室のエクスクルーシブラグジュアリーホテル
パリを拠点とする世界最大級のホテルブランド「アコー」のプレミアムブランド、Mギャラリーの日本における2拠点目となる「ギャリア・二条城 京都」が、京都・二条城前に新しくオープンしました。武家文化の終焉と近代日本の始まりのターニングポイントである二条城、その双方の歴史と文化が感じられるデザインコンセプトとしています。二条城外堀の対岸に佇む、四季折々に手入れされた日本庭園と非日常の寛ぎをご堪能ください。
細い⼩道の入り口を抜けると、そこは⾮⽇常の世界。館内に進むにつれてプライバシーレベルが上がる構成となっており、壁面を鏡⾯仕上げにして⽇本庭園が映り込む空間を演出。
全客室は四季折々に美しく⼿⼊れされた⽇本庭園に⾯しており、⾼層階からは歴史的名所⼆条城を臨むことができる贅沢な客室空間。
ダーワ・悠洛 京都心に残る旅を演出するスモールラグジュアリーホテル。
2019年4月、京都・三条にグランドオープン
当ホテルは、フランス・パリを拠点とし世界100カ国に4,800を越えるホテルやリゾートを展開する世界最大級のホスピタリティグループ・アコーの展開するプレミアムホテルブランドで、「Mギャラリー」としては日本初出店のホテルです。客室数は144室、レストランやバー、フィットネスを備え、京阪電鉄本線・三条駅および地下鉄東西線・三条京阪駅に至近、三条通に面した利便性の高い立地にあり、京都の繁華街である河原町や祇園にも近く、国内外のお客様にゆっくりと京都滞在をお楽しみいただけるホテルとなっております。
東海道五十三次の西の終点である三条大橋の、その先にある54番目の宿場をイメージしてつくられたレストラン。京都ならではの素晴らしい料理を、経験豊富なシェフがその技術を余すことなくご提供します。
大政奉還の行われた年に因んで名付けられたクラシックなデザインのバー。熟練のバーテンダーによるカクテルパフォーマンスとともに、隠れ家のような空間でお楽しみいただけます。
京都府京都市東山区三条通大橋東入大橋町84
tel.075-366-5800
https://www.accorhotels.com/ja/hotel-B2Z1-kyoto-sanjo-hotel-mgallery/index.shtml